豊橋ロータリークラブ国際奉仕事業紹介

ラックペンディング村にて農村開発プロジェクトへの協力

豊橋ロータリークラブは1998年より、国際奉仕活動の一つの事業として、タイ国バンコクベンジャシリロータリークラブ(RI 第3350地区)と共同で、タイ国北部山岳地帯のチェンライ県ラックペンディング村において、山岳民族定住化支援活動を継続して行っています。

ラックペンディング村は、バンコクから800km離れた、タイ北部、ミャンマーとラオスとの国境に位置します。麻薬精製の原料となるケシ栽培地帯として有名なゴールデントライアングルの一角です。支援活動を始める以前は、ラックペンディング村においては、山岳民族の人々は焼畑農法にたよる移住生活が主流となっていました。

本来焼畑農法というものは自然の循環サイクルを乱さない程度の適度な規模であれば、環境は維持されるものです。開墾の労力は節約され、焼き払った草木は灰となり、酸性土壌は中和されるとともにカリウム分を含んだ肥料となります。化学肥料を購入する必要も無く、現金支出が不要です。さらには、害虫が駆除され殺菌効果も得られます。

ところが、このラックペンディング村では焼畑農業人口の増加により、焼畑範囲が過度に広がったことや、森林の再生期間が十分に確保されなくなったことにより、次第に環境破壊が顕著となっていました。周辺一帯の山の緑は失われ、はげ山となり、乾燥した砂漠のようになってしまいました。その結果、山の保水力は低下し、水を蓄える力が失われるために水源機能が無くなり、渇水期には水不足、ひとたび大雨が降れば洪水になるという深刻な状況でした。また、移住生活の範囲が広がることにより、子供たちは定まった学校に通学できず、十分な教育を受けることができない状況でした。

さらに、タイ国政府からはケシ栽培禁止令とともに焼畑禁止令も発令されたため、ラックペンディング村の人々は生活手段を失い、難民状態となって困窮していました。

1996年にタイバンコクで国際ロータリーアジア地域大会が開催されたのが、そのような時でした。そこには、石川パストガバナーを始め16名の豊橋ロータリークラブメンバーが参加しました。参加した当時の豊橋ロータリークラブメンバーは、山岳民族の定住化支援のために私財を投じて活動している、ベンジャシリロータリークラブ特別会員の「プラティープ博士」の存在を知りました。

その際にプラティープ博士の講演を聞き感銘を受けた佐藤脩次会員は、豊橋ロータリークラブ会長となった1998年に森田通夫会員を国際奉仕委員長に任命し、ベンジャシリロータリークラブと共同で国際奉仕活動を始めました。

以来、豊橋ロータリークラブは、「山岳民族定住化支援金」を拠出し、ベンジャシリロータリークラブを通じて、ラックペンディング村での水源整備、植林、ゴム農園開拓、水稲栽培、果樹栽培などの農村開発プロジェクトに協力し続けています。

タイ国との架け橋となり永続性のある支援を

プロジェクトの運営に当たっては、ただ単に資金を援助するのではなく、村民の労働奉仕によってインフラ整備工事を行い、農作物の栽培の手引きをし、現金収入の方法を教えるなど、村民の自立を促すような仕組みを構築して行きました。また、使われた資金が適正に使用されているかを、豊橋ロータリークラブメンバーが毎年、実際に現地に赴いて、活用状況を現認し、念入りにチェックしています。

また、プラティープ博士の運営するNPOボランティア団体である「エコ・コミュニティー活動基金」(Eco-Community Vigor Foundation)に対し、豊橋ロータリークラブ有志の、個々人の寄付を集めた「タイ教育支援金」を拠出しています。これは、ラックペンディング村の子供たちへの奨学金として活用されています。

さらには、RI第2760地区補助金を活用して、ラックペンディング村のインフラ整備や学校の教育施設の整備に協力しています。炭窯、遊具、浄水器、校内放送用スピーカー、食物用天日乾燥器など、地区補助金を活用して毎年支援を行っています。

活動を始めて20年が経過しましたが、以前焼き畑によりはげ山となっていた周辺の山々は緑が回復し、水源も整備され、山岳民族の人々は定住化を実現しています。

子供たちへの教育環境も充実し、私たちが訪れたラックペンディング村の小学校の教育レベルはチェンライ県の中でもトップレベルになっています。

一方、1996~7年の年度にはグローバル補助金を活用して、バンコク郊外における農業用土壌改良プロジェクトを実施しました。

肥料の三要素は、窒素、リン酸、カリウムです。これらの土壌への配合を適度にすることにより、農地からの作物の収穫量が増加し、増収が見込まれます。適度な配合をすることにより、無駄な肥料の消費が抑制され、肥料の使用量を削減できます。

病害虫の発生も抑えられることから農薬の使用量の削減も図られます。

収穫量の増加による増収と、肥料代と農薬のコスト軽減により、農家の収益は格段に向上し、経済的自立が得られ、貧困から脱却することができます。これを豊橋ロータリークラブとベンジャシリロータリークラブ共同で、「バンコク郊外の農業用土壌改良に伴う地域経済の発展・農家の自立システムの構築」という内容で実施されました。

このグローバル補助金活用プロジェクトの事業規模合計は37,848ドルで、バンコク郊外の農民のべ3,000人に対して実施され、測定器の使用方法の説明や、土壌改良の勉強会を10カ所の会場で行いました。

その結果、おおよそ50%の肥料削減と、10%以上の収穫量の増加が得られ、大きな成果が得られました。

今や豊橋ロータリークラブとベンジャシリロータリークラブは濃密な親善関係を結んでおり、お互いの例会に出席したり、相互にレセプションを開催したりしながら年々交流を深めています。

ベンジャシリRCのメンバーが家族ぐるみで豊橋クラブを訪問した際には、一緒に花見をしたり、スキーを楽しんだりしました。

20年にもわたり、タイ国のロータリークラブと姉妹提携を結び、共同で奉仕活動を継続しながら信頼関係を構築し、国際親善を行っていることは、豊橋ロータリークラブにとって大きな財産となっているのです。